1人の作業員にLOCK1つ、KEY1つ
機械や装置の修理・点検・清掃などを行うときは、作業員の安全を確保するためにエネルギー源を遮断してから作業を始める事が必要です。
しかし、ただエネルギー源を遮断するだけでは、安全を確保することはできません。
事例:1
「第三者による誤作動」
ベルトコンベアの修理作業。
スイッチを切って修理をしていたら、作業終了と勘違いした別の作業員がスイッチを入れてしまい、動き始めたコンベアに手を巻き込まれそうになった。
事例:2
「残留エネルギーの遮断ミス」
装置のフィルター交換をするため、作業員は供給側のバルブを閉め、配管のネジをゆるめたところ、配管内の残圧によって噴出した薬液を浴びてしまいそうになった。
このように、安全を確保するためには、作業員が作業を完了し現場を退出するまで、供給されるエネルギー源と残留するエネルギー源を確実に遮断し続ける手段が必要です。その手段が、ロックアウト/タグアウトなのです。
● 目的電気系統・機械系統・油圧及び圧縮空気の配管・熱系統・化学物質(劇薬)などの予期せぬエネルギーの再起動を防止。
● ロックアウトとは作業員一人ひとりが、機械や装置に供給されるエネルギー(動力)源を、遮断もしくは遮断し続けるために、動力源のスイッチ、バルブ、レバーなどを操作できないように施錠します。
施錠するために錠(パドロック)、掛け金(ハスプ)、カバー(治具)などを使います。
● タグアウトとはエネルギー源の遮断中に、遮断した機械や装置の操作を禁止することを札(タグ)などによって明示すること。
※札には「操作禁止」や「始動禁止」「解放禁止」などに合わせて「作業中」であることを明示すること。
ロックアウトとタグアウトを組み合わせて行うことによって、誤操作を防止し、動力設備・装置の可動範囲内で作業する全ての人々の安全が確保されます。
使用例
ブレーカーにロックアウト
ゲートバルブにロックアウト
● 米国:OSHA(米国労働安全衛生庁:Occupational Safety and Health Administration)
「危険な動力源の制御(ロックアウト・タグアウト)1910.147」で次のように規定。
"雇用者は作業者を守る目的で適切なロックアウト器具やタグアウト器具を使用して、予期せぬ動力が入り作業者がケガをしないようなプログラムを確立しなくてはならない。"
● 日本:労働安全衛生規則 第107条(掃除等の場合の運転停止等)抜粋
第一項:機械の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。
第二項:機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。
従来は、エネルギー源を遮断する箇所へ標識(例:修理中 スイッチ入れるな 等)を掲示して誤操作を防ぐ方法が主流でしたが、残念ながら誤操作を防ぎきれず、事故が発生するケースがありました。
ロックアウトは、施錠して実効的に遮断するので、より確実に誤操作を防ぐことができます。
標識表示だけで誤操作を防ぎきれない理由
ロックアウトなら…
● 作業に入るとき
1準備
2通知
3機械の停止
4エネルギー源の分離
5ロックアウト装置の設置
6残留エネルギーの放出
7テスト
● 作業を終えるとき
1工具の片付け、安全装置の設置
2作業員の安全を確認
3ロックアウト装置の取り外し
4通知
5通常の方法でエネルギー投入、再起動